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アスベストの材料

平成17年よりアスベストがにわかに環境問題として取り上げられるようになりました。
石綿とも呼ばれるアスベストとは、天然の鉱物繊維です。

特徴としては、熱や摩擦、酸やアルカリに強く変化しにくい上、
単価が安く、夢の材料としてもてはやされ、世界中で建材や様々な工業用品に使用されていました。

所がそのアスベストの細かい繊維を吸う
と肺がんや、悪性中皮腫などの原因になる事が分かってきたのです。それゆえに、アメリカでは早々と規制に乗り出したのですが、日本ではここに来てやっと腰を上げた始末です。

最近の調査では、中皮腫の患者の約
8割が石綿を扱っていた人でした。最も多かったのは造船所で次は建設、電気工事と続きます。

下に示す表は過去に使用されてきた場所です。

著しく発塵量が多い建材
吹付け材 吹付け石綿・吹付けロックウール・ひる石吹付け
発塵しやすい建材
耐火被覆材 ケイ酸カルシュウム板
断熱材 折板屋根用断熱材
保温材 けいそう土・パーライト・各種保温材
発塵性が低い建材
内装材(壁、天井) フレキシブルボード・ケイ酸カルシュウム板・岩綿吸音板・石膏ボード
床材 ビニール床タイル・長尺ビニールシート
外壁材 サイディング・スレート波板
屋根材 スレート(コロニアル)
設備配管 耐火ニ層管
設備機器 パッキン


経緯

1972年にWHO(世界保健機構)がアスベストの発がん性を指摘しました。日本では1975年(昭和50年)にアスベスト(含有率が5%を超えるもの)の吹付け作業の原則禁止を行ないましたが、これでは中途半端でした。今後は2008年(平成20)に全面禁止となっています。

各主要メーカーの対応は下の表を参考にして下さい。(詳しくは各メーカーにお尋ね下さい)

 クボタ松下 クボタ:屋根材は平成13年、外壁材は平成7年に廃止
松下:屋根材は平成15年、外壁材は平成12年に廃止
 ニチアス 建材は平成4年までに廃止
 吉野石膏 建材は昭和61年までに廃止 

現在でも耐火被覆用として吹付け材(ロックウール)を使用していますが、これは人造の鉱物繊維であり、その繊維の太さは天然の物に比べて100倍もあるそうです。国立がん研究機関では発がん性には分類できないとのことです。

アスベストの健康被害

環境省の調査によると、02〜04年に中皮腫で亡くなった石綿関連の仕事をしていない尼崎市の住民の割合は、全国平均に比べ、女性で最大19.6倍、男性で10.6倍でした。とくに、クボタ旧工場があった、JR尼崎駅そばの小田地区では、女性で58.8倍という高い値が出ています。

石綿関連職業に就く機会は少ないものの、地域にいる時間が長い女性の倍率が高いのは、
大気が石綿に汚染されていたことを示しています。地元からは「公害」であるとの声が多いのですが、環境省としては「公害の指定は検討していない」と住民無視の姿勢です。

環境省では下表の地点での調査を行ったようです。

  主な石綿関連企業
兵庫県尼崎市 クボタ
大阪府泉南地域 60〜70年代に200以上の工場が密集
佐賀県鳥栖市 リゾートソリューション(旧日本エタニットパイプ)
岐阜県鳥羽市 ニチアス
横浜市鶴見区 エーアンドアーマテリアル(旧朝日石綿)

大阪府泉南地域では、80年代に保健所が住民に対して疫学調査を実施し、近隣住民にアスベストの健康被害が出ていると指摘していました。又、横浜市鶴見区のエーアンドアーマテリアル工場近くの住民2人がアスベストが原因とされる中皮腫で亡くなっていたのです。

東京都大田区の大森皆南地区では、07年12月住民8人に石綿の影響とみられる健康被害が出ていることがわかりました。そのうち70代の男性は中皮腫で死亡していました。08年3月には、この地区での居住が原因とみられる健康被害者が新たに10人見つかっています。

80年代まで、
大田区大森南4丁目周辺は、ミヤデラなどの石綿製品の製造工場が複数ありました。07年春頃、たまたま胸部レントゲン診察で、石綿による健康被害に特有の症状がみられました。その後も石綿関連とは違う仕事の人にも胸部プラークや中皮腫などの症状を抱える住民が現れました。

ここで50年以上暮らしている男性は、
兵庫の石綿関連工場周辺住民に中皮腫の被害が広まっている事を聞き、区役所に「住民の 健康診断はしないのか」を尋ねると、自身でやって下さいと、つれない返事でした。これを受けて大田区は近隣住民の健康診断をやっと行なう事を決めています。

奈良県「ニチアス」関連工場周辺住民らを対象にした健康リスク調査をしました。89年以前に周辺で暮らしていた希望者358人が受診し、08年5月にその結果がでました。その中で98人に、石綿を吸い込んだ人だけに現れる「胸膜プラーク」が見つかり、うち37人は本人や家族が石綿を吸う職業に就いておらず、「環境暴露」の可能性が高いという。なお奈良県は、石綿が原因とされる中皮種で工場周辺住民が7人死亡したことを確認しています。

06年3月に施行された、アスベスト健康被害救済法により、労災保険が適用されない人でも、石綿工場周辺住民への補償は受けられる事になりました。しかし、石綿による病気が発症するまで20〜40年とも言われています。ですからまだ、石綿問題がここで終わったとは言えないのです。

08年3月厚生労働省は「事業所への風評被害」などを理由に開示を拒否していたがやっと、労災認定や石綿救済法の認定事業所の公表をしました。それによると全国で新たに2167カ所に上ったとことが分かりました。

08年6月、環境省の調査結果が出ています。それによると、アスベスト健康被害救済法の救済対象として認定を受けた被害者の4割が職場や家庭など、どこでアスベストを吸って暴露したか特定出来ないことがわかりました。一般の大気から環境暴露の疑いが強く、「公害」的な側面が浮んできました。

兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場近くに住み、アスベスト(石綿)を大量に吸うと発症する石綿肺を患った男性(10年9月に死去)遺族に対し、クボタは11年6月、救済金を支払うことを決めました。10年7月に石綿肺が石綿健康被害救済法の対象疾患に追加され、男性が死亡後11年2月、国から救済認定されました。クボタが石綿肺の患者側に救済金を支払うのは初めてです。


05―06年度に労災補償と石綿救済法の給付金を受けた人は計3382人。うち2201人がすでに死亡しています。

石綿新法による救済措置

   まず
厚生省アスベスト関連ページでチェック



身近にある恐怖

一般的な戸建住宅の屋根に使われているのが、01年までに製造したクボタの「コロニアル」と03年までに製造された松下の「フルベスト」の名前で知られる屋根材です。

これはセメント生地に石綿を混ぜて補強した材料です。日本で旧来使われていた粘土製の瓦より軽く施工性も良いのが普及した要因でしょう。又阪神大震災後、軽量の屋根は倒壊しにくいとの理由で売れ行きが伸びました。現在では
全国で400万〜500万戸で使われているといわれています。

一般的に、新築から5〜7年で1回目の塗装、その後5年毎に塗装が必要になり、15〜20年で葺き替え時期を迎えます。しかし、そのように補修している住宅がどれほどあるでしょうか。
補修しないまま年数を重ねると結果、劣化が進み
アスベストが飛散する事となります。

一方、
解体時には、国が定めた石綿障害予防規則により、解体業者に飛散防止策を義務付けましたが、実際の現場では、屋根材を地面に投げて叩き割っている現場もあるようです。


そして環境省は11年4月、
東日本大震災の被災した宮城、福島、茨城の3県の計15地点でアスベストの飛散状況を調べた結果通常の大気環境とほぼ同じ数値で、「健康影響はないレベル」(大気環境課)でした。

ただ、ビルの解体作業により飛散が増える可能性もあり、防じんマスクを正しく着用するように呼びかけています。がれき撤去にあたるのは臨時雇用の被災者など、作業に不慣れな人が多く、危険の度合いは高まります。防じんマスク9万枚を被災地に配布済みですが、気温の上昇とともに「息苦しくて作業しにくい」などの理由で着用しない人もいる模様です。

このため同省は「集中パトロール」を実施し、また、呼吸が楽な電動ファン付きの高性能防じんマスク600個を配布。

アスベストが全面禁止になった2006年までに建てられた建物には、建材として使われている可能性があり、解体する際には大気汚染防止法に基づいて事前に都道府県へ届け出なければならないですが、
災害時には事後でも認められます。

青森県は11年6月、八戸市、階上町、おいらせ町、三沢市内にある災害廃棄物集積所周辺の10地点を調査。結果はいずれの地点も、大気汚染防止法に基づく「1リットル当たり10本以下」をはるかに下回る数値でした。

2011年10月、兵庫県西宮市の病院で宝塚市の男性が息を引き取りました。死因は中皮腫。
仕事はアスベストとは無縁の衣服販売でしたが、
阪神大震災で休業状態になった時期に2カ月だけ、倒壊建物の復旧に関わるアルバイトをしたのです。

労働基準監督署は震災後の業務と発病の関係を認め、男性の死を労災と認めました。阪神大震災では建物25万棟が全半壊。

当時の環境庁が大気中のアスベストを測ったところ、建物解体現場の周辺で最大値は基準値(大気1リットル当たり10本)の2倍。しかし、民間の測定では
16〜25倍が検出されました。

五輪を控える東京では開催にに先駆け解体が進み、周辺住民が石綿を吸うリスクが高まっています。住民被害が対象の石綿健康被害救済法の認定者は今年1万人を超えました。

今後の恐怖

2004年の兵庫県尼崎市のクボタ工場周辺で一般市民を含む70人以上の死亡者が出て社会問題となり、全国的に対策が進んでいたはずでした。

2016年1月、国土交通省は全国の自治体を集め講習会を開き、その中で、アスベストを含む可能性のある民間の建物は
全国に約280万棟ありますが、国交省はこれまでに24万棟しか把握できていないと言います。

厚生労働省の資料では、2013年までに建物の中で働いていただけで胸などを患った人が
100人以上いたことが報告されています。

たとえば、
東日本大震災で被災した9階建ての仙台のホテル解体工事に伴うアスベスト除去工事において、すべての階の鉄骨にアスベストが吹き付けてあったのですが、市が立ち入り検査した際に濃度を測定したところ、異常な濃度のアスベストを検出したのです。

市の発表によれば、発がん性の高いアモサイトが建物の敷地境界で1リットル当たり最大360本という異常な濃度で検出されました。

住宅地におけるアスベスト濃度の全国平均が
2010年度、1リットル当たり0.08本ですから、実に4500倍です。

天井などの耐火性を高めるために使われた「吹きつけ材」や配管に使われた「保温材」などは、適切な処理を行わなければ
通常の大気の数百倍、数千倍もの濃度で飛散してしまうのです。

高度成長期に建てられた建物の解体のピークは
2028年の10万棟だそうです。

石綿の町が消える

オーストラリアの西オーストラリア州「ウイットヌーン」の町は07年、町の認定を国が抹消することを発表しました。というのは、50年代にアスベストの原料である青石綿の鉱床が発見され、石綿鉱山の町として繁栄しました。又、鉱石のくずを空港や道路整備に使用していました。

その後鉱山労働者や住民ら数百人が
石綿関連の病気で死亡しています。そこで70年代から州政府により立ち退きが進められました。

その結果、近年はゴーストタウンとして有名になり観光客が集まるようになったために、現在でも健康被害の恐れがあるとして、
町の存在を消す事が必要になりました。

アスベスト土壌汚染裁判

2016年、あのヤマトの羽田クロノゲートの土地購入での裁判がありました。

ヤマト運輸は2007年に
荏原製作所から東京都大田区羽田の土地を購入する売買契約を締結し、新物流ターミナルの建設を進めました。

ところが、荏原製作所が使用していた旧建物の解体工事が完了した後、土地の表面および地中に、
アスベストを含有するスレート片が広範囲にわたって多数混入しているという事実が判明。

ヤマト運輸は、アスベストを含むスレート片は人体に害を及ぼす可能性があると考えられることから、
周辺住民の方々および行政との協議を行い、慎重な検討を重ねた上で、アスベストを含む土壌を全量撤去。

そして、売買契約上の瑕疵に該当するものと判断し、荏原製作所に対し、撤去に係る費用等の負担を求めました。しかし、荏原製作所はその負担を拒絶したため、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起。

2016年4月、東京地方裁判所は、ヤマト運輸の請求を一部認容し、荏原製作所がヤマト運輸に対し、
56億1,812万4,016円およびこれに対する年6分の遅延損害金の支払いを命じる判決を下しました。



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