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眺望権の利益


眺望権の考え方には日照権と基本的には同じです。しかし、
日照権の侵害は比較的に認定されやすいのに対して、眺望権は殆ど認められないのが現実です。

その理由としては、
「我慢すべき限度」の差が大きい事と、もう一つは、日照については快適な生活を営む上において、不可欠の利益だとされるのに対して、眺望に関しては、そのような利益とは考えられていないとされています。

ですから、
都市における一般的な住宅では、眺望阻害は、殆ど我慢すべき範囲と判断されます。

眺望権を認めた例

1.) ある別荘地での事例です。原告は木曾駒高原に木造平屋建ての別荘をたてました。ここからの木曾御岳山の山並みが重要な眺望でした。
ところがその後100m程離れた場所にリゾートマンションが建設されたのです。

そのために原告は眺望を阻害されたとして、裁判所に訴えました。結果は訴えを認めたものでした。

判断の理由として、被害を受けた別荘からの
眺望は、格別の価値を持っている事と、この別荘の建物は、眺望の利益享受が重要な目的として建てられている事。

そして眺望阻害者は、被害別荘から100m程離れた所に、付近では見られないような10階建のリゾートマンションである事と、被害別荘の持ち主がこれまでに享受してきた眺望に対して
何の配慮もせず又、事前の説明をもしなかった事。

以上により、1992年大阪地裁は、眺望阻害は一般的に是認し得る限度を超えた不当なものとして、阻害者に損害賠償を命じる判決を出しました。

2.) 大阪の芦屋でマンション業者が、交通の便は悪いが、素晴らしい眺望をセールスポイントとしてマンションを売り出しました。その業者は南側に小さな土地を所有していましたが、購入者に対して、「そこには高い建物は建てない」と約束していました。

しかし業者は南側の土地を大きく買い進め、
別の業者に売ってしまったのです。でもその売買契約書には「2階以上の眺望を阻害する建物は建てない」旨を書き加えていました。でもその祭に、住民と話し合えば建築制限条項を無視出来るような説明を行なっていたのです。

しかし、土地を買った業者は住民と話し合う事もなしに5階建てのマンションを建てたのでした。眺望の被害を受けた住民達は
南側に建てた業者とは結果的には、和解をしています。でも土地を売った業者に対しては損害賠償の訴えを起こしました。

1993年大阪地方裁判所は住民の訴えを全面的に認め、損害賠償の支払を命ずる判決を下しました。理由としては、土地を売った業者は、建築制限付きの売買契約書を公にせず、
眺望阻害と同視すべき行為を行なったものと判断したのです。


3.) 札幌市内の分譲マンションで眺望権を争った例があります。
眺望の良さを売りとした15階建てのマンションの13、14階を購入した住民が訴えたのです。
実はその翌年に
同じ不動産会社が、60m南側に別の15階建てのマンション計画を発表し、その後完成させたのです。

住民らは、
「眺望権」ではなく「信義則違反」として争いました。2004年札幌地裁は原告の一部を認めて不動産会社に賠償命令を出したのです。

ただし問題はそれだけでしょうか。それらの
マンションの北側にあるであろう住宅等の眺望や日照の権利は無視されるだけなのでしょうか。

新しくマンションに入る人は、その建物が、
近隣住民の色々な権利にたいしての犠牲の上に成り立っている事を知る必要があるでしょう。

3.) 花火が見えなくなり訴訟を起こした例です。
2003年に東京の
隅田川花火大会が見えるマンションの部屋を購入した人が「同じ業者がすぐ近くに別のマンションを建設し、花火が見えなくなった」として、損害賠償を求め訴訟しました。

実は、購入者は、隅田川花火大会を取引先の
接待に使うために購入したのです。

2006年12月東京地裁は、その事を業者は知っていたと判断し、「観望を妨げないよう配慮する
信義則上の義務に違反する」とし、賠償請求の減額はあるものの業者に賠償の支払いを命じました。


眺望権等を尊重した例

新築マンションと、その南側に建つ超高層のオフィスビルとの関係における例です。

大阪市中央区にある高さ約120m、35階建てのマンションでは、
18年2月から住民が入居する予定でしたが、その後、この南側に高さ91mのオフィスビルが建設されることがオフィスビル側からの知らせを受けてわかったのです。

そこで一部の購入者から販売元の不動産会社に、抗議が出ていました。

ただ、
販売元の不動産会社側として事前に購入者には、南側で将来建物が建つ恐れがあることを承知してもらっていました

しかし、マンション販売側は、購入者に対して期日までに解約すれば、購入費用を返金するという、異例の対応をしたのです。

この素早い対応は、不動産会社としての今後の信用を第一としたのでしょうか。この事例はこれからのマンションにも影響が及ぶものと考えられます。

眺望権を尊重しなかった例

2000年、大阪市浪速区に建つ地上28階建ての超高層マンションを購入した住民は、約80mの距離で同じデベロッパーの近鉄不動産が2005年に建てた地上39階建てのタワーマンションのために眺望が悪化したとして、慰謝料の支払いを求めた訴訟を起こしました。それにたいして、2008年6月大阪地方裁判所は原告側の請求を棄却しました。

先に建てられたマンションのパンフレットには、「上層階の東方向を望む住戸からは、生駒山を背景に上町台地を望む眺望をお楽しみいただけます。」などの文句が書かかれていました。

そして原告は
眺望に魅かれて上層階を購入したが、購入時に新しいマンション計画についての説明はなく、近くに超高層マンションが建てられることがわかっていれば購入しなかったと主張しました。

しかし裁判所は眺望権よりも、売買契約の手続きに問題があったことに重点を置いて判断しています。裁判所が重視したのは、売買契約締結前に近鉄不動産が行った、将来眺望が変わる可能性があることを明記して承諾を求める
重要事項説明でした。

売買契約書の特約条項には、「・・・本マンション南側道路をはさんだ近接地およびOCATをはさんだ東側近接地は開発予定であり、本マンションの眺望、日照条件、交通量等に変化が生じる場合があること等、周辺環境を充分調査確認のうえこの契約を締結し、以後この環境について売主および関係者に対し何ら異議を申し立てないこと」の記載がありました。

裁判所は、
重要事項説明を受けた段階で原告が特に質問をせず、異議も唱えなかったと指摘して、説明内容に納得して売買契約を締結していると認定しました。

日影規制もない都心の商業地域に建つ超高層マンションでは、“眺望権”を認める理由は少ない、との判断でしょう。しかし眺望権をめぐる
裁判所の判断はまちまちのようです。

建築の差し止めを取り消した例
神奈川県真鶴町の相模湾を望む立地に別荘をもつ男性は、その海側の隣地に高さ8mの住宅が建つ事に対して、眺望権を奪うものとして
建築の差し止めを求めていました。この建物が建つと海の眺めを遮られることになるのです。

2009年4月、横浜地裁小田原支部は眺望の利益を認め、建築の差し止めを命じる決定をしました。裁判官は「良好な眺望は法的保護に値する」と認定、また隣地の所有者が建築内容について男性側と
事前に協議をしていないことなどにもふれています。隣地住宅の工事はすでに一部始まっていました。

しかし2010年12月、横浜地裁小田原支部が、建築差し止めを認めた同支部の命令を取り消しを決定。それによると、女性側は差し止め命令後、当初の計画より横幅を約30メートル短くする案を提示。

所有者側は「縮小しても、最も美しい眺望は阻害される」と主張したが、決定は「真鶴半島方面の眺望はほとんど遮られるが、相模湾の水平線などは一望でき、
我慢するべき限度の範囲内と言うべきだ」などとして退けました。

別荘の景観の侵害

大分県の由布岳が望める別荘地において、景観の侵害に対する住民同士の争いが起き、2013年9月土地や住宅、別荘などを持つ約20人が大分地方裁判所に提訴しました。

被告は約1700m2の土地を持ち、
太陽光パネル約160枚を庭に、約50枚を屋根に、太陽光パネル損傷防止用フェンスを庭の外周にそれぞれ設置したのです。

そして原告は
太陽光パネルとフェンスを撤去し、景観侵害の慰謝料として1人当たり1日1000円を設置期間分払うことを求めているのに対して、被告は請求却下を主張しています。

この別荘地管理規程には「管理会社の承諾を得ずに営利事業を行わない」「広告看板、ネオンサインの設置など別荘地の環境、美観を害する行為を行わない」、工事規程には「敷地の境界には塀や垣根などを設けてはならない」「規程に違反した場合は損害賠償責任がある」などの規制条項が盛り込まれています。

被告は答弁書で、「原告が主張する景観利益は漠然としている。景観を害するという主張は
主観的なもので、パネルがどこから見た景観にどう影響するかもわからない」「パネルの設置は管理会社に説明して了解も得ている」などと反論。

「フェンスは境界識別用ではなくパネルの損傷事故防止用なので、工事規程に違反しない」と争っています。




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