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公共建物

近年、大きな地震を経験してきましたが、18年3月の文部科学省の報告によると、全国の公立小中学校の耐震診断の終了状況は56.3%であり又、耐震化率51.8%にとどまっています。避難場所としては問題ありですね。

2003年7月26日の宮城県北部地震で何らかの被害を受けた学校は県内で182校にのぼりましたし、又2004年10月23日の新潟中越地震では、中越地区の小中学校の約8割が何らかの被害を受けていました。

 静岡県  静岡県の耐震補強助成実績状況です

1981年以前(旧耐震設計法)のマンションは全国で133万戸程とされています。この中で耐震補強を行なった建物はどの程度あるのでしょうか。早急に考慮しなければならない事は皆さんも解っているのでしょうが、方法や経済的な問題も壁になっているのでしょう。


また、厚生労働省が08年5月に行なった、全国の
病院の耐震化の調査結果があります。

 すべての場所で耐震基準を満たしている  50.8%
 一部は満たしている  33.1%
 全て満たしていない  12.4%

このほか、災害拠点病院も、「全て満たしている」は58.6%です。国の目標では、災害拠点病院の耐震化率を10年までに70%としています。そのため民間病院に対する耐震化工事の補助金を09年度から、1/3から1/2にひきあげます。

2016年4月の
熊本地震においては、防災拠点である熊本市宇土市役所が倒壊の恐れが出て、市内の体育館に移動を余儀なくされました。しかも、地震直後には、市役所の可能電話回線は1本だけになったのです。

耐震補強の方法ー木造

木造の場合のいくつかの方法をあげてみました。

 
耐震壁新設ー今までに無かった所に壁を設けることにより耐震性は強まるものの、取りの使い勝手が
   問題になります。天井、床基礎の工事が伴います。

 
既存壁、窓部分を耐震壁に変更ー耐震性は強まりますが窓については暗くなりますし、建具の位置を
   変更した場合の使い勝手も問題になります。壁、床、天井のはがしの工事が伴います。

 静岡県住宅部  スジカイ補強の状況です

 外部金物補強ー外部からの基礎、土台と柱との接合補強で安全性がたかまります。外部だけの工事
   ですので住んでる人にとっては楽です。

 いのちまもる  後付けホールダウンの説明です

既存の壁を壊さなくてもよい方法もあります。シート状のアラミド繊維を柱に留め付ける工法です。一般的な構造用合板とほぼ同等の耐力があります。壁解体、残材の処理の不要及び手間がなくなります。

○ 
屋根の軽量化阪神大震災の時に重い瓦屋根の家が沢山倒壊している様をTVで見たと思います。これも方法の一つではあります。
 外国、中南米のコスタリカの国では町の中の建物全てがトタン(鋼鈑)屋根です。住宅も教会も。それは太平洋地震帯にあるため、屋根の軽量化を法律で定めてあるそうです。


○ 
外壁の軽量化ーモルタル壁は重いうえに、水分を吸収しやすいため、内部の構造用合板等の劣化に影響が及ぶ恐れがあります。サイディングなどに切りかえる方法もあります。

○ 
シェルターー補強ではありませんが、寝る時に部屋の中に置く3帖ほどの木製のシェルターです。睡眠中の安全のためですが。とりあえずの方法でしょうか。

補強費用

耐震補強にも色々ありますが、では、工事費用はどの程度なのでしょうか。以下には大雑把な目安として表にしてみました。参考程度として考えてください。

 耐震壁新設(90cm)  25万円程度
 既存壁を耐震壁に変更(90cm)  15〜20万円程度
 金物補強(1ヶ所)  5〜20万円程度
 外部金物補強(1ヶ所)  10〜15万円程度
 屋根の軽量化  100〜200万円程度
 外壁の軽量化  100〜200万円程度
 シェルター  30万円程度


補助金

耐震診断と同様に耐震補強の工事についても各自治体での補助金制度があります。

18年4月14日の報告では、東京都大田区の耐震診断、改修の助成を始めたら、申し込みが殺到して2台の電話機がパンク状態になったらしいのです。
皆さんの関心ぶりがうかがえますね。

国土交通省では震度6強〜7程度の大規模地震に対し、評点を定めています、参考にして下さい。

評点 具体的な影響
 1.5以上  倒壊しない
 1.0以上  一応倒壊しない
 0.7以上  倒壊する可能性がある
 0.7未満  倒壊する可能性が高い

木造住宅の耐震診断をし、耐震補強をしようとしても、それなりの費用がかかる為に、耐震改修をあきらめる人が多いようです。そのため、現状の耐震基準を下回る補強工事でも補助金を出す自治体が出てきています。

自治体 内容
 徳島県  伝統的工法の民家に限る
 長野県  要件を緩和
 東京都墨田区  要件を緩和
 東京都足立区  要件を緩和
 新潟県長岡市  要件を緩和
 三重県四日市市  要件を緩和
 三重県鈴鹿市  要件を緩和
 兵庫県神戸市  要件を緩和
 和歌山県  1.0未満〜0.7以上

理由としては、耐震性に問題がある住宅に住む人は、高齢者や金銭的に余裕の無い人が多いとされているからです。これは、神戸や新潟の大震災で学んだ事です。

文化財の耐震補強

08年2月、今後予想される直下地震により倒壊の恐れがある文化財を、後世に残す必要性があるとの意見が政府から出ていますが、現状はどうなのでしょうか。

奈良県は国内最多の
国宝建築物がありますが、耐震診断を終えたのは東大寺だけです。県としては、「診断だけでも費用がかかる」と難色をしめしています。

京都の
清水寺では、改修した奥の院において、斜面が崩れないような杭を打つ補強を住ませていますが、建物自体には手をつけていません。本堂と舞台を含める大半の建物は、400年も前の文化財なので勝手に修復も出来ない状態です。

銀閣寺では、08年2月18日から始まった屋根の葺き替え工事に合わせて、床や天井内の補強を計画中です。
二条城では、耐震診断により、本丸御殿の一部が震度6強以上で、倒壊する恐れが出たために、08年の春と秋の特別公開を中止しています。

愛知県の
名古屋城は、防災拠点の補強が済んだあとに考えていて、今は手つかずの状態です。

利用出来ない補助制度

国土交通省は06年8月、戸建て住宅で耐震改修の補助制度を利用できない市区町村が、全国で7割を超えているとする驚きの調査結果を発表しました。
 又、17の道や県では、耐震改修の補助制度が受けられる市町村がゼロという事も明らかとなったのです。
耐震改修の補助制度がすべての市町村で利用できないのは、
北海道、青森、秋田、香川、佐賀、鹿児島、沖縄、山形、福島、福井、鳥取、島根、山口、愛媛、熊本、大分、宮崎の16県(赤色は、耐震診断の補助制度も、すべての市町村で利用できない)となっています。

耐震改修の補助制度がないと、耐震改修促進税制の
所得税の優遇措置も受けることができないため、二重に不利となってしまう事になるため、国交省としては耐震改修を進めるために補助制度の普及に力を入れる方針だそうです。


たとえば、阪神大震災の時は、古いビルを中心に倒壊が相次ぎ、道路をふさいで
避難や救助を妨げました。今後大地震が起きた際、救急車や消防車が走る「緊急輸送道路」を倒壊した古いビルなどがふさがないよう、耐震化のための国が創設した工事費の助成制度があります。

対象は、高さが道路幅の半分以上などといった条件を満たす緊急輸送道路沿いの建物。しかし、都内全62区市町村のうち
47区市町村は財政難などで助成金負担に同意しておらず、所有者はまったく助成が受けられないこともあります。

そのため、建物の所有者や
自治体の負担が大きいことにより、東京都での対象は1万棟程ありますが、09年11月時点で工事実績はゼロ。都内緊急輸送道路は、すべての国道や首都高速、主要な都道などで計1970キロに及びます。


今後、日本列島は大きな
地震が予想されている中、自治体はあまりにものんびりしているようです。財政が悪いのも分かりますが、人の命と、どちらを優先しようというのか。
 
逆に、
静岡県と兵庫県は、戸建て住宅について耐震診断と耐震改修の双方の補助制度がすべての市町村で利用可能となっています。

耐震補強の方法ーコンクリート造の場合

木造に対してコンクリート造の耐震補強工事場合は大変です。
では、補強の方法はどのようなものがあるのでしょうか。

 耐震壁の補強  鉄骨などのブレースにより耐震壁を新設
 柱の補強  炭素繊維や鉄板を巻いて強度を増す
 制震補強  制震ダンパーを設置
 基礎免震補強  基礎部分に免震装置を設置
 中間階免震補強  中間階に免震装置を設置

しかし、神戸市が国庫補助を受けて08年度に実施した橋の耐震補強工事で、橋脚に巻き立てる炭素繊維シートの向きを誤って発注した結果、補強の効果が得られなかった事故もあります。


※制震、免震については
災害を参照して下さい。

制震補強用のブレース(筋違い)の効果については、1999年に日本大学のグループが、解体前の3階建ての校舎で、実物大の実験を行なっています。結果は想定通りであった、とのことでした。

工事例

ビル(テナント)の補強を考えた場合に、現状では工事の為にテナントに一時退去してからの工事の場合、再度入居する確率は低くなります。よって「居ながら」の工事が多いのもうなずけます。
今の傾向としては、建物の損傷が少なくて済む
制震や免震の採用が多いようです。
そして、工事を行なうのは圧倒的に60〜75年に竣工した建物、いわゆる新耐震以前の建物です。

階数で見ると、4〜9階建ての建物が多いようです。
低層ですと割高になり、高層だと免震の採用が難しく、補強個所も増えてきます。但し官庁関係や、学校等は、経済性よりも安全を取るのは当然でしょう。以下には、居ながらの補強例(ほんの一部)を表にしました。

 基礎免震  東京都豊島区庁舎
 西洋美術館
 中間階免震  村上市庁舎
 日本大学理工学部船橋3号館
 東京九段郵便局庁舎、宿舎
 制震
 東京都葛飾区庁舎
 静岡県庁東館
 新宿センタービル
 耐震補強  東京工芸大学厚木キャンパス2号巻館
 城星学園高校校舎
 神奈川大学横浜キャンパス6号館

ちなみに東京上野の西洋美術館は工事期間中は休館していました。

08年10月から
は東京新宿センタービルでは、「長周期地振動対策として08年10月から超高層ビルとしては日本初の耐震補強を行なっています。

マンションの場合

マンションでは当然、居ながらの工事にならざるを得ません。そうなると、方法はごくごくかぎられてしまいます。

可能性としては、1階の
エントランス周り駐車場等のピロティ部分でしょうか。それも補強としては、柱の補強が無難ではないでしょうか。振動や騒音が最小限で済みますから。

時期を考えますと、闇雲に行なうのではなく、建物の
補修の時期に合わせるのが一番経済的だと思います。

ただ問題なのは、
耐震診断の結果が、1階のエントランス部分だけで対応出来ない場合です。住民のどなたかが犠牲をしいられるようであれば、簡単には行きませんね。
耐震を100%求めるのであれば、
建替えの方法も考えざるを得ません。


ちなみに下表には、住宅ローンのハウツーがわかるサイトを載せてみました。参考にどうぞチェックしてみたらどうでしょうか。



新耐震以前の問題

東京都日野市にある旧住宅公団の高幡台団地の73号棟で「耐震構造上問題がある」としてURから「除去」することを理由に立ち退きを求められています。
耐震強度問題で取り壊されるのは73号棟です。
立ち退き拒否で、10年」6月現在住んでいるのは10軒。

高幡台団地73号棟は昭和56年以前に旧耐震基準で建てられました。06年4月 耐震改修工事実施が発表され、08年3月 耐震改修工事断念を住民に説明し、10年3月31日までに立ち退くように指示されました。

期限までに立ち退かない場合は、UR賃貨住宅のあっせん(家賃の減額)・家賃等一部補填の支払い(100万)・移転費用の支払いを受けれない旨を提示されました。

URは、改修が出来ない理由として、板橋区の高島平団地でも採用された
耐震補強フレームではべランダ側の南側にしか設置が出来ないので日照などの関係で住宅や店に影響が出てしまいます。そして、非常にコストがかかると説明。

住民は納得が出来ず10年3月、URに設計図の請求をしました。ところがURから渡された設計図は、真っ黒に塗りつぶされていたのです。真っ黒の設計図を渡した理由をURに聞くと「防犯みたいな観点で何らかの出来事が起こることを懸念して、
構造図は開示しない」とのことです。

URは、「耐震強度」を問題にしているが情報開示請求によってもその根拠となるような資料は出されていないことについて、住民は疑問を感じています。

古代の耐震技術

南米ペルーの首都、リマの北、約100kmにある石造建築遺構「シクラス遺跡」を調査した、耐震工学の藤澤、筑波技術大教授は、平成17年の夏、その竪穴入り口付近に「シラク」を見つけました。「シラク」とは、建築用の石を包むためにアシで編まれたものです。地震の多いこの地域で生まれた耐震のための知恵と考えられています。

この遺跡から北に150kmの所にある
「カラル遺跡」にも「シラク」を使った建築工法が発見されています。
教授は、これを放射性炭素分析した結果、今から
4000年以上前の古代遺跡である事がわかったのです。この遺跡は、考古学者には、せいぜい紀元前1000年程度のものと考えられていたのですが、これでアメリカ大陸最古級の建築遺構である可能性が指摘されています。



続きは 耐震構造

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