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欠陥マンション

東京八王子の多摩ニュータウンでバブル期に出来た団地で2003年に問題が発覚しました。このマンション開発は、1989年から92年にかけて分譲した6地区、全46棟、919戸からなります。
事業体は
公団(当時)でしたので人気がありましたが、数年後には欠陥だらけのマンションであることが判ったのです。

問題の内容はコンクリ−トの構造体でした。
コンクリートの打ち方、鉄筋のかぶり厚さ等々、もう基本の基本なのです。業者も悪いけど、設計監理者、公団も含めて問題ありです。また、デザイン優先の複雑な形状も原因であるとの指摘もありました。
当時の大臣はあの扇千影大臣。TVニュースでは怒り浸透の顔が印象的でした。
 

問題はこれだけでは留まらず、2006年には、6階建てのマンションで、社団法人・日本建築構造技術者協会の検証の結果、
耐震強度が基準の58%しかないことがわかったのです。

又2001年には管理組合が構造計算書の提示を求めた際、都市機構が
構造計算書を「紛失した」と報告。ところがその後、構造計算書の問題部分を訂正した別の計算書を17年に作成していたのです。しかし、住民らには「問題ない」と虚偽の説明をしていました。

46棟のうち、都市機構と
マンションの管理組合との協議がまとまっていない3棟(6階建ての2棟と同14階建ての1棟)に対し2006年11月、都市機構は、約10億円の補修費などをマンションの管理組合に支払う調停を八王子簡易裁判所に申し立てていました。高層棟を建て替えた前例はないから高層棟を含む3棟まとめての建て替えはできないという判断なのでしょうか。

2010年10月時点で、46棟のうち半数近い20棟を建て替えました。既に補修した建物も18棟に上ります。そあひてURは建て替えや補修に総額627億円を投じていることがわかりました。費用は2009年3月末までの出来高ベース。

最終的には46棟すべてが建て替えか補修となる見込み。 URは元請けで施工した約40の建設会社に対して、工事請負契約に基づく損害賠償を請求。国土交通省に設けた中央建設工事紛争審査会で紛争処理の手続きを進めた結果、和解がおおむね成立。建て替えや補修に要した費用の約1割を建設会社から和解金として受け取る予定。
13兆5199億円の有利子負債を抱えるURです。


他の事例を見ると、国家プロジェクトとして建設された、福井県敦賀市にある
新型転換炉ふげん発電所は、現在廃炉に向けて準備中です。しかし、その外壁が強度不足だったことが07年12月にわかりました。原因は施工不良とのこと。

富山県のあるマンション管理組合は、07年と08年の2度、住宅性能評価機関に建物検査を依頼しました。その結果必要な
耐震性能を下回っていたのです。そのため、09年6月事業主のアパホームなど3社を提訴しました。

欠陥マンションの裁判例

東京都日野市にあるURの管理する高幡台団地73号棟。鉄筋コンクリート造の地上11階建てで、管理戸数は250戸。竣工は1971年5。旧耐震基準によって設計が行われていて、現行の構造基準を満たしてはいません。

1999年3月にURが耐震診断を実施した結果、震度6強の地震で倒壊する危険性が高いと判断され、
耐震改修を検討。しかし、約7億5000万円の工事費が必要でした。

耐震改修を実施する場合、約7割(172戸)の住戸の南面窓側に鉄骨ブレースを設置する事となり、賃貸住宅としての機能性や使用価値を大きく損なうという理由から、
取り壊しする方針を決定。

2008年3月から入居者に対する説明会を開始。移転住居の斡旋や引越し費用の負担、一定期間の家賃補助などを条件に2010年3月を退去期限として、73号棟からの
退去を求めました。

その結果、入居していた204世帯中、197世帯が合意し、期限までに退去。しかし残りの7世帯はURに耐震補強工事を求め、退去期限後も入居を継続。そこでURは2011年1月21日、入居を継続した7世帯を相手取り、建物の
明け渡しを求めて東京地裁に提訴。

2013年3月東京地裁は、「耐震性が低く、取り壊さざるを得ない賃貸住宅で、賃貸借契約の更新を拒絶することには
正当事由がある」との判断を下し、URの主張を全面的に認め、入居者に退去を命じたのです。

借地借家法28条では、賃貸人が賃借人の賃貸借契約更新を拒絶する際は正当の事由が必要であると定めています。


構造計算偽造問題

2005年11月に発覚した問題ですが、事件後も熊本、横浜、札幌と「非姉歯」による構造計算偽造が続々と出てきましたが、同様な事が全国でも展開されていたのです。

2006年12月には、国土交通省が実施しているマンションのサンプル調査で、報告があった221棟のうち7%に当たる15棟が
「耐震強度不足の疑いがある」と判定されたのです。

その中には強度が基準の5割程度とみられる物件もあったようです。耐震不足の建物は「姉歯」以外にも世の中には沢山存在するのでしょう。

2006年3月のTVニュース番組では、「姉歯」が関与して話題になった川崎の物件を独自で現状を調査検証した内容でした。
それによると、図面と比べて
手抜き工事も見られましたが、反対にコンクリート強度に関しては(現状の壁などをくり貫いて採取した検査)設計強度よりも実際の強度のほうが1.25倍あったのです。

これらをまとめて再計算した結果は、官庁の発表の耐震性能
≒0.5に対して≒0.8とでてしまったのです。TV局の人達もこれにはビックリ。
手抜き工事をしているにも関らずこれだけの数値を出した要因はコンクリート強度だと思います。

阪神大震災後、
コンクリートの仕様が見直されました。それからは、各現場で使用するコンクリートの強度は設計より強くなっている傾向にあるのも事実です。


そもそも
建築工事は自動車などと違い機械ではなく生身の人間が汗を流しながら一つ一つ造り上げていくものなのですから、図面通り100%完璧に造るのは難しいのです。ましてや、夏の暑さや冬の寒さの中では建築材料そのものにも影響が出てきます。

昭和の時代には、10階建ての建物で下と上の階での誤差が10cmあるというような建物はザラにありました。現在はレーザーを使用していますから、かなり
正確になっているようですが。

又世の中には同じ形状の建物はありませんし、地盤などの
条件もまちまちなのですから、地震が建物に及ぼす影響は中々予想が難しいのも事実です。ですから構造の設計者は今までの経験から個々の建物に、自分なりの安全率などを考慮しています。この部分で役所の担当者との意見の相違が出てくるのでしょうし、設計法方も選択次第である事も原因だと思います。

「鉄骨造」の項目でも振れましたが、現在の
構造計算は発展途上なのです。役人は、地震に対する構造基準は世界に誇れると言っていますけれど。ここでもう一度基本に返って見直す事も必要でしょう。


ちなみに、この偽装事件では、建て替えを選ばざるを得なかった分譲マンションの住民が、国や東京都世田谷区、川崎市の両自治体、指定確認検査機関「イーホームズ」を相手に、建て替え費用など約10億4500万円の
損害賠償を求める訴訟を2006年10月6日、東京地裁に起こしました。

原告側の言い分としては、「偽装が容易な構造計算プログラムを認定した」「指定確認検査機関に対する監督権限を行使しなかった」又、「計算内容に問題があっても終了できたり、内容を自由に改ざんできるようなプログラムを指定したこと自体が問題」とのこと。

しかし11年5月、東京地裁の判決は、住民の
請求をいずれも棄却しました。判決は「事件が発覚するまで、強度偽装の横行などを把握できる事情があったとは認められない」と述べ、国などの過失を否定したのです。


また、構造計算書偽造事件によって休業を余儀なくされた愛知県半田市の
ビジネスホテルが損害賠償を求めた訴訟で、09年2月名古屋地裁は被告の愛知県と開業指導した総合経営研究所に約5700万円を支払うように命じました。

地裁の判断は、建築主事の役割を「危険な建築物を出現させない
最後のとりで」、また「建築物の安全性を確保するための注意義務を怠った」などと指摘。

一方、総研については、「漫然と一体的に営業活動を行っている設計者を選定し、
指導監督を怠った」などとし、不法行為責任を認定。
姉歯が関与した構造計算書偽造事件で、
行政側の過失を認めた判決は初めてです。

ところが、2010年10月名古屋高等裁判所は、建築確認審査の過程で偽造を見逃した愛知県に「賠償責任はない」とする判決を下したのです。

一審が建築主事の注意義務違反を認めたが、「建築主事には審査項目の網羅的な審査は要求しておらず、審査の程度にも自ずから限界がある」 とし行政の責任が認められるのは建築主事の注意義務違反が
「故意・重過失」に当たる場合に限られるとし、争点になった審査ミスはそれに当たらないと判断。
原告の請求を棄却しました。しかし建て主側は10年11月に最高裁判所に上告しました。


そして
姉歯建築士による構造計算書の偽造で、解体を余儀なくされたマンション「グランドステージ住吉」の元住民ら48人が建て替え費用など計約3億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、11年1月に東京地裁でありました。

住民らは、建築確認を下ろした指定確認検査機関イーホームズ(廃業)と、特定行政庁の江東区を訴えていたのです。しかし、地裁は「イーホームズに偽装を看過した過失はない。同社に過失がない以上、
区にも責任はない」と判断し、原告の請求を棄却しました。


そして2012年1月、耐震強度不足が判明した横浜市鶴見区のマンション(販売会社ヒューザーが分譲)の住民53人が、建築確認をした
指定確認検査機関の日本ERIと設計事務所側へ約14億3600万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は、日本ERIと設計事務所側に計約14億円の支払いを命じる判決を言い渡しました。横浜市への請求は棄却。

2006年に耐震強度が建築基準法の
基準の約64%しかないと判明。住民側は「日本ERIは申請時に壁の強度不足に気付き、修正を指示しながら、下請けが手書きで修正しただけの計算書を十分審査しなかった」と強度不足を見過ごした過失を主張。確認検査は公権力の行使で、市にも賠償責任があるとしたのです。

判決理由では「日本ERIは構造計算書の誤りを是正させることなく建築確認を行った過失がある」と指摘。マンションは大震災時に倒壊する危険があり、建て替えが必要だと認め、費用は日本ERIと設計事務所側が賠償するべきだとしました。

そして2013年9月、日本ERIに損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、和解が成立。日本ERIは「訴訟が長期化するリスクを回避して、早期解決を図るのが合理的」と判断して、東京高裁の和解勧告を受け入れました。同社は住民側に解決金として
6億6500万円を支払うことになります。


まだ続きます。国土交通省は2010年4月、京都府に建設予定だった鉄骨造3階建ての共同住宅の確認申請で、構造計算書の偽装があったと発表しました。大阪市の建築設計事務所で2009年8月に確認申請したもの。構造計算ソフトの
出力データに警告文が出たために、これを見えないように細工したコピーを提出していたものです。kenplatz

強度不足と分かった東京中央区の分譲マンション「グランドステージ(GS)茅場町」を
建て替える再開発事業の起工式が09年9月におこなわれました。姉歯元建築士が設計したデベロッパー・ヒューザー分譲のマンション十一棟の中では最後の再建となりそうです。


2006年、札幌市の聞き取り調査に対し、元建築士がマンションの
構造計算書の偽造を認めたことで発覚。耐震強度不足が21物件で確認さ れ、元建築士は同年、建築士免許を取り消された事件がありました。

その一つのマンションを購入した11世帯14人、は、「販売前のパンフレットに『新耐震基準に基づく安心設計』などと記載され、法令基準よりも余裕を持たせた耐震性能があると販売担当者から 説明を受けた。
消費者契約法違反(不実の告知)に当たり、契約は取り消せる」と主張。

分譲した 住友不動産に、売買契約の取り消しや売買代金計約4億1000万円を請求。2010年4月札幌地裁は、同社に対し、原告1人当たり616万〜4740万円の支払いを命じました。その後、和解しています。

上記の判決があったのは、強度不足だったマンションの一つで、地下1階、地上15階建て。原告らは2003〜2004年に売買契約を結んだが、市の調査では 耐震強度が基準の86%だった。住友不動産は補強工事の準備を進めていますが、その方法を巡り、再び争っています。


もう一つの判例があります。
大阪市内の11階建ての分譲マンションで、姉歯事件後
建築主が自主検査したところ、耐震性能を満たしていないことが判明したため、指定確認検査機関と設計者に是正工事費など約5億9000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

2012年3月、一級建築士2人に対し、連帯して約4億7800万円の賠償を支払うよう命令(確定)。日本ERIに対する請求は棄却。そこで建築主はこの棄却を不服として大阪高裁に控訴。

2014年4月、構造計算ミス見逃しで、
指定確認検査機関の過失を認定し、大阪高裁は日本ERIに約1億4800万円の賠償を命じました。ただ、日本ERIはこの判決を不服として上告し増したが、2015年4月、最高裁判所が日本ERIの上告を棄却。そのため、二審の大阪高裁判決が確定しました。

欠陥住宅最高裁判断

02年9月24日、最高裁は欠陥住宅に対して、画期的な判断を示しました。

2階建ての戸建て住宅で、「全体にわたって極めて
多数の欠陥個所があるうえ、主要な構造部分について本件建物の安全性および耐久性に重大な影響を及ぼす欠陥が存在する。技術的、経済的にみても、建て替えるほかはない」と、東京高裁は事実認定していた。

それを最高裁まで争って、02年9月最高裁は、建物に重大な瑕疵があるために建て替えざるを得ない場合、注文者は請負人に対して、
建て替え費用相当額の損害賠償を請求することができるとの判決を下しました。

これまで、下級審の認めないとする判決の根拠は、「建物その他土地の工作物を目的とする請負契約については目的物の瑕疵によって契約を解除することができない」とする民法635条ただし書きを、民法634条(損害賠償請求権)に類推適用していました。
請負人にとって過酷で、かつ、社会経済的な損失も大きいという理由からです。

しかし、最高裁は「重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合、建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく、また、そのような建物を建て替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは、契約の履行責任に応じた
損害賠償責任を負担させるものであって、請負人にとって過酷であるともいえないので、建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることを認めても、民法635条ただし書の規定の趣旨に反するものとはいえない」と判断しました。



建物に
欠陥が見つかった場合、どの程度なら設計・施工業者に損害賠償を請求できるのかが争われた訴訟の差し戻し後の上告審判決で、2011年7月最高裁は、「現状では危険がなくても、放置すれば将来的に住人らの生命や身体、財産に危険が生じる程度で足りる」とする判断を示しました。

訴えていたのは、大分県別府市に1990年建設された9階建て店舗付き賃貸マンションを購入した元オーナーの男性。ひび割れや配水管の亀裂、バルコニーの手すりのぐらつきがあるとして、1996年に東京都の設計会社と同県の建築会社を相手取り、不法行為責任に基づく損害賠償を求め提訴。

一審の大分地方裁判所は、
設計者と施工者に瑕疵担保責任があるとする判断をしました。被告はこれを不服として控訴します。
二審の福岡高等裁判所は、直接の契約関係にない購入者に対して設計者と施工者は瑕疵担保責任を負わないとし、また、建物の瑕疵は構造耐力上の安全性を脅かすほどのものではなく違法性は強くないとして、設計者と施工者の不法行為責任も否定しました。今度は購入者側が上告し、そして最高裁が2007年、二審判決を破棄し、福岡高裁に差し戻したのです。


今回の最高裁の判決は、2007年に示した「建物としての基本的な安全性を損なう欠陥があれば賠償を認める」という基準をより具体化したもので、欠陥住宅による被害を幅広く救済する内容です。

判決は具体例も提示。放置した場合に鉄筋の腐食、劣化やコンクリートの耐力低下で建物の倒壊につながるような構造上の欠陥のほか、外壁がはがれて落下したり、漏水、有害物質の発生で住人の健康を害したりするケースなどを挙げた。ただ、建物の美観や居住環境の快適さを損なう程度では該当しない、としています。

現在
中古マンションにお住まいの方にとっては、とても安心出きる判決だと思います。


ちなみに03年新築住宅を購入したが06年、建物の
強度が不足してい るとして不動産会社などに損害賠償を求める訴えた事件があります。
欠陥が判明した後も住み続けていることを理由に損害額を減額すべきかどうかが争われた訴訟で10年6月、最高裁は、「住宅 は強度不足で倒壊の恐れがあるなど経済的な価値はないことは明らかで、
住み続けていることを利益ととらえて損害額を減らすことはできない」と判断。

業者 側に計約3100万円の賠償を命じた2審・名古屋高裁判決を支持し、業者側の上告を棄却しました。

欠陥住宅補償

新築住宅の売主に引渡しから10年間、欠陥の補修や賠償に応じる責任を義務づけたのは、住宅品質確保法です。しかし、保証対象は主要な構造部だけとなっており、保険の加入義務もなく、その会社が倒産した場合には泣き寝入りとなってしまいます。

国土交通省はインターネットで行った「住宅の瑕疵担保責任に関するアンケート」の結果を発表しました。それによると、「自分の住まいに欠陥が発生した場合、適切な保証が受かられないのではないか等の不安を感じているか」に対しては、「感じている」が45.9%、「どちらかといえば感じている」が34.8%、合計
80.7%が欠陥住宅になんらかの不安を感じていることが分かりました。

また、「新築住宅の住宅瑕疵保証責任保険は必要と思うか」については、「必要だ」が49.4%、「どちらかというとあったほうがよい」が41.5%、合計90.9%が
瑕疵保証責任保険の必要性を訴える結果となりました。

そこで国土交通省は欠陥住宅の被害を補償する新制度をまとめました。2009年度半ばをめどに、戸建てやマンションなどすべての新築住宅の売り主に
「欠陥住宅保険」への加入か、補償に充てる資金の供託を義務付けるものです。

売り主が経営破綻しても欠陥住宅の補償を確実に受けられる仕組みを整え、被害者が保険金や供託金で補修や建て替えをできる内容です。
新築住宅の売り主に義務づける供託金については、年間4000円程1000戸を供給する大手で1戸あたり4万程度とする案もあります。

供給戸数が多いほど1戸あたりの額が安くなる仕組みで、年間供給が百戸程度の中小の売り主は1戸18万円の負担となります。供託以外の手段として新たに導入される掛け捨ての保険は1戸あたり8万円程度の見通しで多くの企業は保険を利用するとみられます。

保険料や供託金を直接支払うのは売り主ですが、最終的には
住宅価格に上乗せされて、消費者負担になる可能性も危惧されます。そして、建設業の許可がいらない1500万未満の建築ばかりを請け負っている業者は、保険の加入義務もないのです。又、地盤については保証対象になっていないのも残念です。

欠陥を見ぬく

建築物の場合は、いくら設計図がまともでも、施工の過程での手抜きや間違いが、出来上がった後では、チェックのしようがないことです。そのために監理者の仕事がありますが、100%チェックすることは難しいのです。
そこで新たな技術が開発中です。従来X線などで調べる方法はあります。たとえ医療用よりはるかに強力なX線でも、コンクリートの柱の透過力は30cm程が限度です。被爆の恐れもあります。

ここで
ミュー粒子の登場です。絶え間無く地球に降り注いでいる宇宙線で、厚さ1kmの岩盤をも通り抜ける透過力です。
ミュー粒子はコンクリートも楽々通りぬける。その時コンクリートより密度の高い鉄筋にぶつかると、進路が微妙に曲がります。ミュー粒子の曲がり具合を観測すれば鉄筋の位置を確かめられる
「非破壊検査」が可能になります。数時間もあれば鉄筋の本数や太さ、間隔なども確かめられるそうです。

未検査建物

2012年1月、練馬区立小中学校が、建築基準法で義務づけられた「完了検査」に合格せず、違法状態のまま使用されていた問題が明らかにのりました。

最終報告書では、保育園や学童クラブなど学校以外で区民や職員が日常的に立ち入る201施設236棟について調査した結果、77棟で完了検査に合格した記録がなかったのです。

小中学校と合わせ、区立施設846棟の75%にあたる631棟が違法状態です。このうち6棟は、着工前に設計図書が同法に適しているかどうかを調べる
建築確認での合格記録さえもなかったのです。

しかも、光が丘保育園で必要な耐震診断がなされていなかったことや、区役所第二出張所の耐震診断結果が誤っており、耐震補強工事が必要だったことも判明。これは、
職員の順法意識の低さも一因とされています。

しかし、一軒の住宅を建てる場合でさえ、完了検査が完了しない限りは使用が出来ません。区の
職員によって審査されますが、区、自身については目をつぶる現状は、あきれるばかりです。

免振ゴム偽装問題

2015年3月、国土交通省は、東洋ゴム工業製の免震ゴムについて、大臣認定に適合しないこと、又不正な申請書を提出し大臣認定を受けていたことを発表。大臣認定不適合が判明した棟、或はその疑いがある物件数は100棟を超えています。

用途は、マンション、庁舎、病院など。ただ、東日本大震災時に仙台市宮城野区・青葉区(震度6強〜6弱の地域)に建設されていた3棟については、震災後に現地調査を実施した管理会社などから構造体に損傷は生じなかったとの報告を受けています。

又、茨城県日立市の消防拠点施設も東日本大震災で震度6以上の揺れを経験したが、東洋ゴム工業製の免震装置も含め目視レベルでは無傷だったのです。むしろ旧耐震時代に設計された市庁舎にひび割れなどの被害が発生。

現在工事中の建物はどう対応しているでしょうか。

静岡県御前崎市消防庁舎の地上2階建ての待機棟には18基の不適合品が使用されていることが分かったため、すぐに工事を止めました。ただ、まったく先の見通しが立たない状況におかれています。市は東洋ゴム工業に対して損害賠償請求も検討しています。

大阪府枚方市の枚方寝屋川消防組合新消防本部庁舎の場合は、19基の不適合品が使用されていますが、既に工事は最終段階を迎えているため、工事を続行しています。このまま竣工しても、完了検査が合格しない可能性もありますが、このプロジェクトは重要な役割を担っている新しい消防システムなので、供用開始の遅れは許されない状況。完了検査に合格しなければ、施設を使用できないですが、建築法規の弾力的な運用により1年程度、施設の仮使用的な利用を認めてもらいたいとの思惑があります。

京都府舞鶴市の国立病院機構舞鶴医療センターでは、2015年6月に完成予定の新病棟に不適合品42基が使用されていました。区切りの良いところまで続行することにし、国立病院機構本部とも協議のうえで、工事を中断する方向で検討を進めています。舞鶴医療センターも、損害賠償を請求することを検討中で、既に弁護士との協議も始めています。

2015年11月の竣工に向けて建設中の
長野市第一庁舎・芸術館は1基200万〜300万円の免振ゴムを合計90基設置。設置が完了したのは2014年7月ごろ。東洋ゴム工業は2014年2月時点で既に、大臣認定違反の疑いがあることを把握していたのです。

実は、東洋ゴム工業は2007年11月、同社が製造した硬質ウレタン製断熱パネルの一部製品について、大臣認定を不正に取得したと発表しています。同
時期に、住宅用軒裏天井と耐火間仕切り壁の大臣認定偽装を発表したニチアスと共に、大臣認定制度の見直しにつながる大事件となったのです。

そこで国土交通省は、免震建物に用いる積層ゴム支承について、2000年以降に交付した大臣認定の実態調査を開始。現在のところ対象は26社による167認定に上ります。


日本免震構造協会の調査によると、日本国内の免震建築物は住宅を除いておよそ3300棟あります。2004年から2012年までの免震支承の使用割合は、天然ゴム系積層ゴムが全体の39%、鉛プラグ入り積層ゴムが31%、高減衰積層ゴムが17%などとなっています。

これまでも、建築基準法に違反する大臣認定偽装はいくつもありました。防火サッシ、防火シャッター雨戸、耐火スクリーン、耐火間仕切り壁、軒天井材、不燃木材等。だが、どれだけ防止策を講じても、大臣認定の不正取得や不適合が繰り返されます。今後はむしろ大臣認定制度を根本的に
見直す必要があります。

免振ゴム偽装裁判事例

東洋ゴム工業による免震ゴムの性能偽装に関して、偽装された免振ゴムが新築マンションに使用されたとして、東京都内の不動産会社が東洋ゴムなどに約3億8696万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。

2015年9月、第1回口頭弁論があり、東洋ゴム側は、賠償額について争う姿勢です。同社によると、この問題での提訴は初めて。

訴状によると、不動産会社は東北地方にマンションを新築し、2015年4月までに全戸数の約9割を販売済。しかし、4月、このマンションに偽装されたゴムが使われていることが判明。全ての契約を解除し、顧客に
違約金計約3億5178万円を支払ったのです。

東洋ゴムは、提訴について「誠実に対応したい」との姿勢。偽装された免振ゴムが使用された建物は全国で154棟に上りますが、具体的な取り換え工事の計画が進んでいるのは2015年9月時点で36棟のみ。


マンションの建築確認取り消し

2012年、都市居住評価センターが建築確認を下ろした、東京都文京区小石川の分譲マンションが建築途中に、周辺住民の請求を受けた東京都建築審査会によって、避難階の判断により2015年11月に取り消されました。

2015年4月に完売し、2016年2月竣工予定の、総戸数107戸、地下2階・地上8階の鉄筋コンクリート造の建物です。

マンション建設地は、もと銀行の社宅で、4階建ての社員寮2棟が建っていました。2001年に都市再生機構が購入し、2003年10月に競争入札でNIPPOと神鋼不動産が共同購入。

その建築主の申請に対し、文京区長が開発許可を出すたびに、
近隣住民が反対の声を上げるという構図が10年にわたって続いていました。

実は、このマンションが建築確認を取り消されたのは今回が初めてではありません。2005年にも都審査会が「自動車車庫出入り口に面する道路幅員が6mに満たない」などの理由で確認取り消しています。

2015年6月には近隣住民が建築確認の取り消し審査の請求とともに執行停止を申し立て、9月には執行停止が決まり、
工事はストップしている状態でした。

国内では
年間に100件ほど建築確認の審査請求がなされています。そのうち約1割ほどが建築確認を取り消されていますが、ほぼ躯体が出来上がって簡単に直せない建物の建築確認の取り消しはまれなのです。

2014年6月の改正(2年以内に施行)を受けて、不服のある者は建築審査会を通さなくても裁判所に提訴できるようになるため、
強権発動とも取れる都審査会の裁決が行われたと解釈できます。



続きは 欠陥事例

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