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水分

鉄筋コンクリート造の建物においては一番問題になるのは構造体であるコンクリートそのものです。街中でコンクリートを打っている工事現場をよく目にしますが、良いコンクリ−トを作るのにはかなり大変です。

コンクリートは骨材(砂・砂利)とセメント、そして水が必要です。その水の比率が問題なのです。
ところが現場においては水を割り増すことが多いようです。それを俗に
「シャブコン」と言います。この言葉は「欠陥マンション」でも出てきました。

今はコンクリートを打つ場合には圧送ポンプを使うのが常識です。コンクリートミキサ−車からコンクリートを打つ場所まで長いホ−スを使ってポンプで送り出す。その時流動性を良くする為に水を多く入れるのです。

この問題はかなり前から言われ続けていましたが、中々改善されないのです。短い工期のために考え出したものが逆に首をしめる事になったのか。つまり
水分が多すぎるコンクリートはヒビ割れ易いのです。

07年8月、長野県生コンクリート工業組合は、県内の建築工事関係者(823人) へのアンケート調査の結果報告がありました。

過去3年以内に生コンへの加水行為を経験するか、目撃、伝聞した 44%(364人)
自分の判断でコンクリートに加水した経験を持つ 22%(183人)
他人の指示による加水の経験者 18%(152人)

又、その理由として

正規のスランプ(コンクリートの硬さの基準)では施工困難 214人
打設効率向上 154人
正規のスランプにするため 92人

このほか、コンクリートの強度、スランプ値などのテスト結果の改ざんは、回答者の6%(49人)が経験していたのです。

こうした不適切な生コン施工の解決策としては、施工者のモラル向上等が挙げられていますが、現場での第三者のチェックも必要だとの意見も多かったようです。


そしてアメリカの話しになりますが、米連邦捜査局(FBI)は2006年5月米国の大手資材会社であるアグリゲート・インダストリーズ社の社員を
詐欺の容疑で逮捕。 社員らは必要以上の水を加えた生コンクリートを施工現場に搬入したという理由から。

同社は,ボストン市内で2005年に出来た高速道路の大規模な地下化工事に,トラック13万5000台分の生コンクリートを搬入しました。
生コンクリートはプラントで
練り混ぜてから90分以内に打設しなければならない規定があったのに、練り混ぜてから90分以上たった生コンクリートや工事検査官が不合格と判定してプラントに持ち帰った生コンクリートに,水を加えるなどして再出荷したもの。

少なくともトラック5000台分に当たる約3万8000m3の生コンクリートが仕様を満たさないまま打設されていたらしいのです。
今後の補修などを考えるととんでもない事をしたものです。

コンクリ−ト打ち

コンクリートを打つ場合は型枠の中にキッチリと行き渡るようにしなければなりません。 その為に良く混ざるようにバイブレーターを使います。それも一人ではダメなのです。二人でやる必要があります。そして、監督がちゃんと指示してあげなければなりません。現状はどうでしょうか。

平成17年12月16日のニュ−ス記事より
京都市山科区の総合庁舎が入る(1・2階)マンションの
耐震改修工事を行った後に、検査を行ってみると、梁の部分17ヶ所において空洞が見つかったのです。後に、その補修工事は終わったそうですが、このような事は、対岸の火事と見てはいけません。しかし、何の為の耐震工事だったのでしょうか。

ところがこれ以上に怖い事件があります。

2008年7月8日、国土交通省は神奈川県内で施工中のマンションなどで
規格外のコンクリートが使われていた、と発表しました。
問題の生コン会社、六会(むつあい)コンクリートはコストダウンのために、生コンの中に約3%程の
「溶解スラグ」(ごみ焼却灰を溶かし固めて作る)を混ぜて出荷していました。

問題の生コンの出荷時期は2007年7月から08年6月。納入先は横浜、鎌倉、藤沢、茅ケ崎、大和、綾瀬の各市内にある
196現場だという。ただ、具体的な納入先については明言を避けています。

同社は、このうち2007年11月から08年3月までに納入した工場1物件、
マンション7物件で、コンクリート内部の膨張圧で表面部分がはがれる「ポップアウト現象」が発生していることを明らかにしています。はたして地震時の耐震性はどうなのでしょうか。
これに対して08年8月、国土交通省は、安全性や耐震性に問題は無いと発表したのです。しかしその根拠はどうなのでしょうか。

08年11月、神奈川県厚木市は、市立南毛利(なんもうり)中学校の校舎の一部で使われていたコンクリートに著しい圧縮強度不足が見つかり、使用を中止し、
建て替えを決めたと発表しました。
厚木市はすでに1981年以前に建てられた校舎の
耐震診断を終えており、それによると、国の耐震基準をわずかに下回る程度と診断されたのです。

そして補強工事のため各階の壁のコンクリートの一部をくりぬくコア抜き検査を実施したところ、コンクリートの
材料が十分に混ざっていないなど施工ミスが判明したのです。

2013年10月、太平洋セメントは、埼玉県熊谷工場)で製造し出荷した高炉セメントB種の一部に、高炉スラグ微粉末が通常よりも多く混入した可能性があると発表。これを使用したコンクリートは、
強度不足になる恐れがあるという。

太平洋セメントが製造記録を検証したところ、この期間に製造・出荷された製品の一部で、設備トラブルによって混合材である高炉スラグの分量が規定を超過した可能性があることが判明。

型枠の在置期間

コンクリートを打った後、一定の期間、型枠を外してはいけない事になっています。がしかしそれを無視して外す現場があるという話しは何度か聞いた事がありました。

直下の階では床・梁のサポ−トのための鋼管が林のように立っているために、その階での工事が進められない事が理由なのですが、無視しては絶対にいけないのです。

なぜなら、短期に外すと床・梁がまだ設計の強度に達していない為に、たわむ事が考えられます。そうすると床・梁にクラック(ヒビ)が生じます。これはまずいでしょう。

工事が早いと言う事は何処かで何かを
常識外短縮しているという事でしょう。

鉄筋のかぶり厚さ



Aが鉄筋のかぶりの厚さです。
ちなみに
柱は3cm以上と定められています。

しかし現場はそれが中々難しいのが現状なのです。
なにせ機械と違って人間が作るのですから、思うようには行きません。ですが現場監督や監理の人がちゃんと
チェックして指示してあげれば、無理ではないのです。

古い建物で注意深く見るとかぶり不足で鉄筋が露出しているのを見かけます。危ない!





養生

さて、コンクリートが打ち終わったと思って安心は出来ません。この後がだいじなのです。
コンクリ−トを打った後は
水分蒸発しないように養生しなければなりません。

多少の小雨程度の日であれば問題無いのですが、夏の日射が厳しい時・風の強い時は
乾燥が早くなりクラックの原因になりますので、ホースでをまく事やシ−トで保護するなどの対策が必要でしょう。

アルカリ骨材反応

コンクリートに含まれる骨材(砂・砂利)の中にシリカ鉱物を含む骨材がある場合には、それがセメントと反応して膨脹し、コンクリートにクラック(ヒビ)を生じさせる反応です。

何年か前にNHKスペシャルで放映になり問題となりましたね。山陽新幹線の架橋で多く見つかり、他の新幹線もチェックしたもようですがどうだったんでしょうか。

阪神大震災では、倒壊した建物のいくつかにこの骨材反応のコンクリートが見つかっています。強度をはかったら半分程度だった事が報告されています。昭和40年、50年代に使われていたらしいのですが、その後は製造方法が変わり危険性は少なくなったとされていますが、さて・・。

塩害

コンクリートにはが必要ですが、その砂が一時、問題となりました。
砂は海岸から持って来る事が多く。そのまま使えば当然
塩分が含まれています。その塩分が鉄筋にサビを生じさせる原因になります。

使用の場合はよく水洗いする必要がありますが、当然経費がかかりますし、ましてや工期が限られている場合にはその時間さえも縮小しようと考える業者がいるものです。

、コンクリートの
材料検査報告書に目を通せば、そこに塩分濃度が記載されていますから、監理がしっかりしていれば大丈夫なのですが。

バブルの時代には建設ラッシュでしたから、業者の中にはそう考える者がいたとしても不思議ではありません。

09年9月、沖縄県浦添市内間のマンションの2階廊下部分が崩落しました。一階に駐車してた車が下敷きになりましたが、けが人はいませんでした。しかしマンションの住民は避難し、隣接棟の住民にも避難要請をしました。

このマンションは74年ごろに分譲が開始されたもので、専門家はコンクリートに
海砂を使用したことによる老朽化と強度不足などの可能性を挙げています。75年前後は建築ラッシュで、建設現場では川砂が足りず、コンクリートの材料として海砂が多用されていたのです。

崩落したマンションと同時期に建てられたものが4棟があり、住人はどうすればいいのか困惑しています。今後は沖縄だけではなく、全国に広がっていると思われる海砂を使った建物の危険性があるのでは・・・。


コンクリートの劣化

コンクリートは時間の経過とともに、空気中の炭酸ガスや亜硫酸ガス、或いは酸性雨などと化学反応をおこし、またアルカリ骨材反応により、アルカリ性が徐々に中性化して行きます。この中性化が鉄筋のある部分まで進むと鉄筋がさび、膨張を始め表面のコンクリートがはがれ落ちる、爆裂現象が起こります。

10年4月、茨城県高萩市の県立高萩高校で、2階のベランダからコンクリート製の手すりごと
転落する事故が起きました。男子生徒2人がけがを負いました。

県警高萩署は、手すりの劣化が進み、寄り掛かった生徒の重さに耐えられなかった可能性があるとみていますが、後日の調査では、落下した手すりはコンクリート製で、金属製の取り付け金具によってベランダの支柱に留めてあった事がわかりました。県は、調査で取り付け金具の破断した個所が
腐食して いたことが落下の原因と推定しています。見た目だけでは、判断できない怖さがあります。

そこで、11年7月東亞合成と竹中工務店が共同でコンクリートの
中性化を10倍以上抑えることができる塗料を開発。既存の塗料と比べて、薄く塗っても、中性化の原因となるCO2の遮断性能を高められ、中性化率は、0.25mm厚で0.1から0.2で、何も塗らないコンクリートと比べると、およそ10分の1です。


クラック(ヒビ)

クラックは後にどういう状態を招くだろうか。
コンクリートはアルカリ性で鉄筋を保護しています。もしクラックがあればそこから
水分(酸性雨も含む)・汚染空気から酸性の成分が入り込んで来ます。

それらは奥に
染み込み最後には鉄筋までに到達をし、鉄筋のサビを生むのです。コンクリ−トが酸性化していけば鉄筋の保護にもならなくなります。
通常の密度のある綺麗なコンクリートで言えば、酸性化が4.0cmを進むのにかかる時間は100年程度と言われています。
もしクラックが生じていれば、鉄筋がサビ始めるまでに10年程度でしょうか。

その為、タイル・吹付け材などの仕上が必要だと思います。仕上をするのは見た目だけの理由ではありません。
構造体の保護の役割を担います。

コンクリート打ち放し(コンクリ−ト肌のまま)仕上が「おしゃれ」などと言われ、よく目にしますが、そのままの仕上では、
老朽化が早くなりそうなのでは?しかも雨にさらされると汚い雨だれ模様が新築まもない時期に現れやすいでしょう。

このほかクラックからコンクリートの爆裂を起こす高強度コンクリートの怖さもあります。

10年6月、国土交通省は宇部三菱セメント)が超高層ビル用の高強度コンクリートとして国の認定を受けた製品の一部で、認定した仕様よりも
品質の 劣るコンクリートを出荷し、東京、神奈川、埼玉の3都県の超高層ビルやマンションなど計約90棟で使われていたと発表しました。

コンクリートが固まる時に発生する熱を抑えることで、日本工業規格(JIS)の標準のコンクリートよりも
ひび割 れが生じにくくした建材との認定を受けていました。

国の認定を受けると、大量生産して超高層ビルやマンションに使えるようになります。 ただ、国の認定を受けた仕様と異なる 建材を使った建物は建築基準法違反となりますが、
耐震強度などの安全性は満たしており、建て替えなどの必要は生じない見通しらしい。

この乾燥収縮ひび割れは、コンクリートの宿命とされてきましたが、2012年清水建設が開発・実用化した、超低収縮コンクリート
「ゼロシュリンク」によっていままでの常識が変わるのでしょうか。

「ゼロシュリンク」とは、乾燥収縮を極力抑制した上で、わずかに生じる収縮を膨張材による初期膨張効果で相殺し、乾燥による収縮をなくす方法です。


2013年10月、
愛媛大学の教授らにより、微生物を活用したグラウトによってコンクリート構造物に生じたひび割れを補修する技術を開発しました。

これはコンクリート構造物のひび割れ部に、イースト菌や納豆菌といった微生物とひび割れ修復に必要なカルシウム源、その微生物の栄養源を混ぜたグラウトを注入。

微生物が活動すると二酸化炭素が発生し、炭酸イオンが生まれ、カルシウム源から生じるカルシウムイオンとが反応すると炭酸カルシウムの結晶が生成し、ひび割れが修復されます。

現時点では、安価で大量に使用できる微生物を使って、十分な量の炭酸カルシウムを生成するスピードが遅いという課題があるので、生成スピードを改善できる微生物の探索やグラウト性状の改善などを進め、今後の実用化を目指します。

放射能汚染コンクリート

福島県二本松市内の11年7月完成の鉄筋コンクリート3階建て新築マンションの1階屋内部分から、屋外より高い最大毎時1・24マイクロシーベルトの放射線量が検出されました。

12世帯が居住している、1階に住む女子中学生が個人線量計で測定した累積被ばく線量が高いことが判明。11年12月28日調査したところ、放射線量は屋外では毎時0・7〜1・0マイクロシーベルトのところ、1階は0・90〜1・24マイクロシーベルト、2〜3階は0・10〜0・38マイクロシーベルトでした。

国と同市の調査で、打設したコンクリートに用いた
砕石が計画的避難区域に指定された同県浪江町の採石場から2011年4月前半に出荷されたことが判明。

この砕石が、高濃度の放射性物質で汚染されていた可能性が高いことがわかりましたが、原発事故後、汚泥やがれきの再利用については基準が定められたが、コンクリート用の砕石には
基準はないという。

現場のマンションは、完成後間もない昨年8月から入居を始めましたが、悲しいかな、12世帯中10世帯が震災で元の住居に住めなくなった被災者といいます。

ただ、福島・二本松市の新築マンションは、あくまで氷山の一角です。汚染コンクリ材料の砕石を出荷した2社を通じてだけでも、福島県内約200社の建設会社などに汚染コンクリが出回ったとみられ、すでに
首都圏まで流通しているかもしれません。
  
また、生コン以外にコンクリートブロックなどに加工されたケースを考えれば、全国の広い範囲に流通しています可能性もあります。
 


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「ある作家のHP−古館真(元ゼネコン社員)」