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適切な金物

近年、大きな地震が相次ぐ中で、阪神大震災によって木造の問題点が明かにされました。

被害の状況としては、
「柱が土台から外れていたもの」・「筋違いが外れていたもの」・「梁が柱から落下しているもの」などがありました。


この原因として簡単に言えば、
適切な金物接合されていなかったと言う事になります。或は適切な金物を使っていなかった事でもあります。

又、外壁に耐震壁として使用される「構造用合板も倒壊した建物の中に含まれていましたが、その合板は、すでに腐っていて構造材としての用をなしてはいなかったのです。
これは
「結露対策として間違った使われ方をしたもの、それと外壁に「モルタル」を使用ていた建物のようです。


法(建築基準法)での構造計算ではクリアしていても、肝心の施工がしっかりと行われていなければ意味がありません。その後、阪神大震災を教訓として「中間検査義務付けされましたが、地方自治体は、規模により検査免除もありますので、まだ完全ではありません。

下は木造に関するページですのです。

 耐震ナビ 静岡県による木造の耐震に関するページです
 木造について 日本建築学会による木造の仕組みを解説しています
適切なクギ使ってますか

木造の耐震強度の調査を頼まれた人のコメントによると、耐震壁に使われているクギには、建築基準法に違反するものが使用されている建物がたびたび見うけられるという。

構造用合板を耐力壁とする場合は、
「N50」のJISクギを使うよう指定していますが、実際には、N50ではない法規違反のクギが施工されている恐れがあります。

07年11月、耐力壁の性能を測定する公開実験が行われました。実際に「N50」より機械打ち機用の細いクギ、PNF2150を用いて耐力壁の試験体を製作し、性能評価試験を行いました。

この試験結果を壁倍率に換算したところ、「1.64」になりました。N50を規定通り使った場合の壁倍率は「2.5」なので、それを約
34%下回ったことになり、設計上では、強度不足になります。性能として考えると、3割以上の低下が予想されます。

バランスは適切?

構造計算ではOKでも、バランスが悪ければ問題を引き起こしかねません。役所の審査はバランスの細かい点までは審査しないからです。

そもそも2階建ての木造住宅は規模が小さければ構造計算は提出しなくとも良いからなのです。(これは84年度から始まった措置です。)

吹抜けのある建物の場合、建築基準法には水平剛性に関する規定がないためか,役所のチェックはありませんので、安易な吹抜け問題あるかもです。吹抜けの場合は2階床の火打ち梁がないために、剛性が低下し、たとえ壁量が十分でも、建物全体にねじれを生じる恐れがあります。

吹き抜けがある室内の壁で開口部周囲のクロスがよじれたり、室内ドアなどの建具にすき間が生じたりする話しはよく耳にします。吹抜け周りの床の剛性、構造体の接合方法をガッチリしているでしょうか。

右の左図を見ますと、町中でよく見かけます、道路に面して車庫があるタイプです。


建物北側には壁がありますが
前面の東西軸壁が無い為に、バランスが悪く強い地震の時には、車庫部分がつぶれて行く可能性があります。

07年3月の
能登半島地震での金沢大学の調査では、倒壊した建物の中で1階がつぶれている家が目立ったようです。その大部分が1階を店舗や車庫に使用して、柱が少なかったという事実があります。

右図は太陽の光を多く取り入れようとして
南側に窓を多用してしまって、壁量が少ないタイプです。
せめて
コーナーには壁が欲しいところです。

私も、規模の小さい木造建築を確認申請した時、自分なりに構造計算書を添付しましたが、必要無しと言う事で、わざわざ役所から計算書を返されてしまったのです。役人としては自分の仕事の範囲以上はしたがらないのでしょう。あきれたものです。
木造の壁量不足で強度不足になった欠陥建物の問題は多くあります。

07年1月、分譲会社、アーネストワンが97年以降に販売した首都圏の木造3階建て分譲住宅23棟で、構造計算書の誤りが見つかるなどし、
耐震強度が建築基準法で定められた基準を下回っている疑いが強いと発表しています。06年にも木造2階建て住宅289棟で耐震強度不足が判明しています。原因は単純な設計ミスでした

プレカットの問題

木造の柱、梁などの部材はプレカット工場で生産されています。現場で作っている姿は見なくなりました。コンピューターで部材をカットしているのです。

ところがそこに問題があります。職業能力開発総合大学の教授によるプレカット工場の担当者へのヒアリング調査では、1階と2階で
柱の位置や壁の位置が半分以上、合っていない住宅が多いとの結果でした。

これは、1階と2階の平面図を重ね合わせると、2階の柱や壁の下にそれを支える柱や壁が存在しない、
柱の直下率が50%を下回る事です。地震時に大きなダメージを受ける可能性があります。

その結果、 バランスの悪い危ない間取りが量産され、床に傾きやたわみが生じ、補償金が支払われた事故やクレームが増えています。架構の品質低下を招いている原因は、伏図を描かずプレカット会社に架構設計を丸投げする設計者や住宅会社が増えていることです。

建物全体としての
構造を検討せず、営業マンなどが建て主との打ち合わせで、1階と2階の間取りをそれぞれ別々に決めて、そのまま突っ走ってしまうケースが多いのです。また、デザイン重視の設計者も問題になります。

そして、一般的な住宅は、竣工検査だけで済む事や、また業者の設計施工は、
採算重視の傾向が強いのも大きく関係しています。

地震の教訓

Eディフェンス木造2階建ての耐震実験が行われました。30年以上前のほぼ同じ間取りの建物を並べ、ー方は筋違いなどの耐震補強を施して行われました。結果は、阪神大震災クラスの地震でも耐震補強を施した建物は崩壊を免れたのです。中々凄い!

阪神大震災から、中越、能登、中越沖地震までの経験と、Eディフェンスによる
耐震実験から、木造住宅の倒壊は1階の柱が引き抜け、1階部分が横倒しになるのが最大の特徴でした。

倒壊した住宅の1階部分には、横倒しになった壁や2階部分がすき間なく折り重なり、埋まってしまう状態をいくつも見てきました。 阪神大震災では、この際の
圧死者が最も多かったわけです。

耐震改修出来ない場合は、せめて
2階での寝起きを実行する事が賢明なのでは。又、耐震改修する場合は、壁量のバランスも必要ですが、腐朽部分の交換を行わない限り、耐震強度は期待出来ないでしょう。

2009年10月、
3階建て木造住宅の耐震実験では、震度6強で、揺れに耐えると考えられた「長期優良住宅」の基準を満たす住宅が倒壊したのです。防災科学技術研究所は設計上の課題などを探る予定です。

2016年4月の
熊本地震において、1階がつぶれた事例がテレビ画面から沢山流れました。多くは重い瓦屋根がありました。九州は台風が多く、その対策でもあると思います。

しかし、問題はバランスです。1階には居間のような大きな部屋が多く、特に南側は開放的に作るため筋違や合板を利用した耐力壁が設けられにくいのです。

又商業施設でも、道路沿いには壁は少ないのです。そのため1階の壁のバランスは悪く、2階には細かく分かれた部屋が設けられ、その2階の「柱と壁」は屋根しか支えていませんが、1階の「柱と壁」は屋根と2階を支えているため、
1階は2階より丈夫に造らなければならないのです。

木材の割れ

木材における、昔ながらの天然乾燥では含水率を15%以下にできないので、割れが発生します。最新の人工乾燥工法で主流となってきた人工乾燥工法は「高温セット方式」です。

高温セット工法は、木材の表面割れ防止を目的として開発されましたが、高温セット工法の問題点として、内部割れが指摘されています。そこで、全国12カ所の林業試験所と森林総合研究所などが、内部割れによる強度への影響と内部割れを減らす乾燥スケジュールを解明する共同研究を3年間続けましたた。

結果としては、程度の差はあれ、
全ての樹種で低下しています。

共同研究では、内部割れを生じた6樹種について、曲げ、せん断、圧縮など複数の強度を調べました。その中で、低下が認められたのは、せん断強度です。せん断荷重は接合部にかかりやすいため、内部割れを生じた製材に、クギ、ビス、ボルト、ラグスクリューで留めたホールダウン金物の引っ張り試験を実施。

結果はいずれもホールダウン金物の基準耐力は満たしたが、ビス留めとラグスクリュー留めは降伏荷重がやや
低くなりました。 そして、様々な強度で低下が認められたのはスギとトドマツ、ほとんど認められなかったのはヒノキ

研究結果では、内部割れを防ぐには、高温セット後、乾球温度90度以下で乾燥させるか、高温セット後は天然乾燥お行うことで内部割れを少なくできることが分かっています。

キッチリ造っていますか?

07年3月の能登半島地震での金沢大学の調査では、過去震度6強の地震に比べ、全壊した住宅の戸数は少なかったようです。その理由として、雪の多い奥能登では太い柱を使用している家が多い事又、地元で言う「あえくの風」と呼ばれる日本海からの強い海風対策として、伝統的に柱や梁は太く頑丈なものを使い、窓も少なくして、建物の強度を確保しているそうです。

地震の教訓として阪神大震災でもう一つ解った事もあります。
「数奇屋造り」風の伝統工法を重視した建物が崩壊を免れていた事でした。筋違いも無く、柱も基礎と直結していない建物がです。その大工さんに言わせると「キッチリと造れば倒壊しない」でした。

バランスもよく、
伝統文化にのっとっている建物、そこから考えられるのは「法隆寺」のような、バランスが良くしっかりとした太い柱が必要なのだとも言われています。現在の工法は在来工法と洋風工法の折衷としての軸組工法なのですが、問題は古い伝統を継承していない事であるとの指摘もあります。


法隆寺の耐震性

法隆寺などにある五重塔においては、1300年以上にわたり大地震で倒れた記録がありませんでした。
考えられる理由としては
「心柱振動吸収説」、五重構造自体の弾性が揺れを受け流す「柔構造説」などがありました。心柱とは塔の中心を貫く太い柱の事です。

この疑問に対しての実験が、18/4/14に、
防災科学技術研究所で行われました。実験に使われたのは、山梨県の宮大工の方が2年がかりで制作した、実物の5分の1の高さ約7メートルの模型でした。

実験の内容としては、心柱が耐震に不可欠かどうかを確かめるために、心柱を外したり、心柱を接地させず1階のはりの上に建てたりして、
震度5強の揺れを与えました。

揺れの影響は屋根の上の輪飾りが大きく揺れ、扉の一部が外れましたが、
振動を止めると塔はすぐに復元したのです。これにより実験後の報告としては、「心柱の有無は耐震性に大きく影響しない」という思わぬ結果だったのです。

自分の考えとしては、屋根上の輪飾りの揺れが地震力をある程度吸収したのではないかと思いました。

同研究所では、さらに実験を重ね、
耐震性の謎を解明したいとの意向です。早く解明してほしいものです。


 いにしえの町並み空間歩く旅 は伝統的な町並み保存地区のサイトです

浅草寺の耐震化

東京都台東区浅草の浅草寺本堂で行われている改修工事で、長年の雨風などで劣化した土瓦の屋根が半世紀ぶりにふき替えられています。

新しい屋根は、耐久性に優れ、軽さが特徴の
チタン製の瓦。工事を担当している清水建設によると、国内のチタン瓦屋根としては最大規模という。

ふき替えは、劣化してはがれ落ちる恐れがあった土瓦を撤去し、約9万枚のチタン瓦をふいた。瓦1枚の重さは、約100〜150グラムで、屋根全体で当初の約930トンから約180トンに大幅な軽量化に成功。

5分の1まで軽量化され、これにより耐震性が大幅に向上する事が期待されます。阪神大震災では、重い瓦屋根の木造家屋が潰れた例が、記憶に新しい。

東京大空襲で焼失し、1958年に再建され、09年2月から、耐震性など安全強化のため改修工事が行われており、10年12月に完了予定。

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