シックハウスの不安                HOME  災害 防犯 環境 立地 建物
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シックハウス訴訟


02年6月、購入した横浜市内のマンションに入居した女性は、数日後に頭痛などに悩まされました。そのため病院にて診察を受けた結果、
化学物質過敏症と診断されました。

そのため女性はマンション分譲のダイア建設を相手に約8790万円の
損害賠償を求める訴えを起こしました。09年10月、東京地裁は、女性の訴えを認め約3660万円の賠償責任を認めました。

理由としては、マンション完成後に化学物質の
濃度測定を行わなかった過失があったとしています。ただしダイア建設は09年10月時点では民事再生中のため、債権者への配当は現段階で6%にとどまります。しかし、被害を受けた女性は判決後、転居した現在でも症状が続いているのです。


04年6月末北海道で竣工した戸建て住宅の住人は、体調を崩し、
トルエンを原因とするシックハウス症候群と診断されました。住人は06年11月、工事請負契約を結んだ相手である札幌市内の住宅会社を札幌地方裁判所に提訴。

引き渡しから1年以上経過した段階で行われた住人側の測定によると、1階室内にある3カ所の排気口周辺では空気の流れを検知できず、室内のトルエン濃度は厚生労働省指針値の1.2倍である0.083ppm、ホルムアルデヒド濃度も同指針値をわずかに上回る0.082ppmでした。

天井裏に這わせたダクトを通して機械で集中排気するタイプの第三種換気システムでしたが天井裏の
ダクトは直径が不足していたうえ水平方向や縦方向に曲げられて大きな圧力損失が発生。

実際には換気ユニットを「強運転」にしても1階居室は排気できない状態でした。住宅会社は換気システムが稼動していないのは自社の瑕疵であると認めていたが、補修方法と費用面でユーザーと対立して裁判になりました。ところが、07年1月、住宅会社は同地裁に
自己破産を申請し、訴訟の行方は、宙に浮いたままです。


シックハウス症候群は、建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質が原因となり、居住者に頭痛やめまいを引き起こします。新築住宅の気密性が向上した1990年代に顕在化したため、2003年7月に施行した改正建築基準法に対策が盛り込まれました。

幼児の事故多発

10年3月、東京都は、シックハウス対策で設けたドアと床のすき間(アンダーカット)に、幼児が足を挟まれて爪がはがれるなどのけがが多発している事を、1〜6歳の子供がいる人を対象に実施した調査結果を発表しました。

2003年7月に施行した改正建築基準法により、24時間換気装置の設置が義務付けられました。ドアをアンダーカットしたり、ドア下部に格子状の通気口(ガラリ)を設ければ、24時間換気装置は最少1台に減らせることも可能です。

今回の都の調査では、「自宅にアンダーカットを設けたドアがある」と回答した人は、2000人中1004人(50%)だった。

自宅にアンダーカットを設けたドアがある1004人のうち、27%がドアでヒヤリとしたか子供がけがをした経験があり、
16%は実際に子供がけがをしました。けがの内容は「足に擦り傷、切り傷」が最も多く85%、「足の爪がはがれた」が続いたが12%。

ヒヤリとしたか子供がけがをした時、子供がドアを開閉していたケースは60%でした。子供以外がドアを開閉していたケースは35%。場所は居室・廊下が67%で最も多く、トイレが27%。年齢別にみると2歳児が37%と最多、1〜3歳で80%以上を占めました。

具体的な対策として、「スポンジ製のものをすき間に挟んでいる」というのがありましたが、これではシックハウス対策としては意味が無くなります。

東京都は結果を受けて、事故防止ポイントをまとめたガイドを作成し、都民に安全を呼び掛ける予定です。

シックハウスに対する意識

札幌市で次々とシックハウス問題が噴出しています。10年3月、市の「宮の沢児童会館」で実施した改修工事で床材をじゅうたんからコルクに張り替えたところ、竣工後に1人の職員が、 「唇が腫れる」「指先が冷たくなる」などの症状を訴えました。

調査の結果、揮発性化学物質の一つである
トルエンの濃度が国の指針値を大きく超え、最大26倍の測定値を示しました。建築基準法のシックハウス対策では、トルエンは規制対象外であるものの、文部科学省は 学校の教室内で、トルエンやホルムアルデヒドなど6物質の濃度を定期的に測定するよう定めています。

他の施設について調査したところ、室内を改修したのに、指針・取扱要領に沿った対策をとっていなかった児童会館が市内164施設のうち、2009年度に改修し た31施設が該当。

さらに調査対象を市の他の部局に広げて緊急点検したところ、2009年度中に室内の 小規模改修を実施した139施設のうち計69施設で、使用した建材の
安全確認を怠っていたなど指針・取扱要領に基づいた対応をしていなかった。

建築基準法にシックハウス対策が盛り込まれたのは03年のこと。原因として、関係者一同がシックハウス問題に対する意識が薄れていったのではないかと思われています。
(ケンプラッツ)

仮設住宅のシックハウス

11年3月に起きた東日本大震災により、岩手県宮古市の仮設住宅に入居する高齢女性2人が11年7月、吐き気や頭痛などの症状を訴え、シックハウス症候群の疑いがあると診断されていたことが分かりました。

国土交通省によると、東日本大震災に伴う仮設住宅で同症候群と疑われる事例は初めてとみられます。気温が高くなると、建材に含まれる化学物質の放散が進む恐れがあるといい、厚生労働省などは「定期的な換気を」と注意を促しています。

岩手県県民くらしの安全課や宮古保健所などによると、宮古市の仮設住宅に入居する高齢の姉妹が6月、「入居直後、シンナー臭がして吐き気や頭痛、目まいがする」と訴え、病院で診察を受けたところ、シックハウス症候群の疑いと診断されたのです。

姉妹は2回にわたり受診し、病院側は点滴や酸素療法をした上で、部屋の換気をするよう指示。姉妹が入居する仮設住宅は5月下旬に完成し、6月から入居が始まりました。

シックハウスの原因物質を分解

08年3月、東芝マテリアルは、室内の低い照度でも有害ガスを分解する光触媒を開発しました。シックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどを分解します。

開発した光触媒は、非酸化チタン系の酸化物複合材。100ナノメートル以下の微粒子状に加工するなどの活性化処理によって、一般家庭の居間くらいの明るさ(200ルクス以下)でも十分な反応を確保できたそうです。

アセトアルデヒドを用いた実験では、
酸化チタン系光触媒の分解率が1〜2%だったのに対して、開発した光触媒の分解率が50%と、ほぼ30倍の性能。

同社では、新しい光触媒を溶剤に混ぜて壁紙などに塗布する使い方を想定し 、シックハウス対策製品の開発を目指しています。


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